「~しなければならない」「これは絶対こうだ」「自分には無理だ」
こんな言葉を口にしたり、心の中で繰り返したりしていませんか?
現代の多くの人が、知らず知らずのうちに“思い込み”によって心を疲れさせています。実は、こうした思い込みの多くは現実とは異なり、あなた自身の“受け取り方”によって作られたものなのです。
この記事では、論理療法という考え方をもとに、「心の思い込み」から解放されるヒントをご紹介します。
思い込みが心を支配している?
私たちの心は、起きた出来事を“客観的”に受け取っているようで、実はそうではありません。多くの場合、以下のような“偏った思考”が無意識のうちに働いています。
・心のフィルター
物事の全体像を見ずに、一部だけに意識が集中してしまう状態です。
例:仕事で褒められたのに、ミスした一点だけを引きずる。
・過度の一般化
一つの経験をもとに、すべてを「こうに違いない」と決めつけてしまうこと。
例:一度うまくいかなかったから「自分にはできない」と思い込む。
・宿命論的思考
悪い結果に対して「これは運命」「前世のカルマだから」と捉え、現実的な改善努力を止めてしまう。
・可能性の禁止
実際には誰にも止められていないのに、自分の中で「やってはいけない」「効果がない」と決めつけてしまう。
例:「薬は使うべきではない」「自然治癒しか信じない」など。
こうした思考のクセは、心にブレーキをかけ、本来の自分の力を発揮できない状態に陥らせてしまいます。
ポジティブ思考がすべてではない
ここで勘違いしがちなのが、「じゃあポジティブに考えればいいのか」と思ってしまうことです。
しかし、根拠のないプラス思考は一時的な気休めに過ぎず、かえって心を苦しめる原因になることもあります。
大切なのは、「現実をきちんと受け止めつつ、自分にとって納得できる形で受け取り直す」ことです。これを可能にするのが**論理療法(REBT:Rational Emotive Behavior Therapy)**という考え方です。
論理療法とは?──思考の歪みを整える心理技法
論理療法とは、感情や行動を生み出す“思考”に注目し、それがどれだけ合理的で現実的かを問い直す心理療法の一つです。
「つらい」「不安だ」といった感情の背後には、必ず「こうあるべきだ」「自分には無理だ」といった**非合理的な信念(イラショナルビリーフ)**があります。
論理療法では、こうした信念に「本当にそうなのか?」「他に考え方はないか?」と問いを投げかけ、自分自身が納得できる考え方へと変えていくことを目指します。
受け取り方を変えれば人生が変わる
哲学の世界に「現象学」という考え方があります。その中で、こんな有名な言葉があります。
「この世界は、すべてその人の受け取り方によって成り立っている。」
同じ出来事でも、「つらい」と感じる人もいれば、「成長のチャンス」と捉える人もいる。つまり、世界は一つでも、感じ方は無限だということです。
たとえば、リウマチ、パーキンソン病、癌、クローン病など、確かに重い病にかかると生活は大きく変わります。
でも、完治した人もいます。治らなくても、穏やかに日常を送っている人もたくさんいます。
違いは、**「受け取り方」**にあります。
まとめ:思い込みに気づき、現実を再構築しよう
思い込みは誰にでもあります。でも、気づいたときが変化のチャンスです。
「どうせ無理」「これはこうに違いない」と思ったときこそ、その思考を一歩引いて見つめなおしてみてください。そして、自分にとって納得のいく考え方にアップデートするのです。
そのプロセスこそが、論理療法の考え方。前向きに生きることは、必ずしも「明るく元気に!」ではありません。
自分の心を、自分の理屈で納得して変えていく。
それこそが、真のポジティブ思考ではないでしょうか。
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