薬を飲まないリスクとは?鍼灸だけでリウマチ治療に挑んだ患者さんの実話
もしも「薬は飲みたくない」「できれば自然療法でなんとかしたい」と思ったことがあるなら、ぜひこの話を最後まで読んでほしいです。
これは、私の鍼灸院に来られたある患者さんの実話です。

多くの方にとって「鍼灸は良さそうだ」「薬は避けられたら避けたい」と感じるかもしれません。
でも、現実にはその選択が重大なリスクを伴う――そんな事実を伝えたいと思います。
薬を使わず鍼灸だけで挑んだ4か月間
当院には、こうおっしゃる方が来られます。
「リウマチの薬は飲みたくないから、鍼治療だけでなんとかしてほしい」――と。
もちろん、鍼灸には痛みの軽減や関節の動きを改善する効果があります。
実際、鍼灸を用いた研究でも「鍼灸を併用した群が痛みやQOL(生活の質)で改善を示した」というデータもあります。
ですが、いわゆる「関節リウマチ」特有の関節破壊や炎症の進行を止めるためには、薬の守備範囲が非常に大きいのです。
痛みは改善、でも進行は止まらない
この方は、メトトレキサート(MTX/商品名リウマトレックス等)を服用せず、鍼灸のみを希望されました。
医師からも「薬と併用した方が望ましい」と説明はあったのですが、膀胱炎をきっかけに「薬はどうしても飲みたくない」という気持ちが強くなっていたそうです。
来院時の数値:CRP 2.47、RF 246
4か月後(鍼灸のみ継続):CRP 3.63、RF 267
どちらも悪化傾向でした。
ただし、痛みは確かに軽くなり、関節の可動域も改善が見られました。つまり、鍼灸の効果は出ていたのです。
ところが、進行が止まっていなかった。薬を使っていないことで、関節リウマチの進行そのものに対して十分な対抗ができていない状況だったのです。
突然の異変――靭帯断裂という現実
ある日、その方からお電話がありました。
「指がおかしいんです…」と不安な声。
来院して確認すると、なんと小指がだらんと垂れていました。靭帯断裂です。
実はその2日前に病院を受診していたのですが、医師はそのとき気づかなかったそうです。
改めて診察を受けると「切れてるね。手術が必要です」と告げられたのです。
関節リウマチでは「関節に負荷がかからない状態でも、靭帯が自然に断裂する」リスクが知られています。
「薬を飲まない選択」がもたらすリスク
では、この患者さんのケースから私たちは何を学べるでしょうか?
- 関節リウマチの進行を抑えるには抗リウマチ薬が必要
- MTXはその中心的な薬で、症状や関節破壊のコントロールに有効
- 鍼灸は痛みや腫れ、関節の可動域改善には効果があるが、炎症そのものを止める力は限定的
- 薬を拒否する選択は、靭帯断裂・関節変形・将来の手術といった取り返しのつかないリスクにつながる
ネットには「薬は危険」「自然療法で治せる」といった声も多くありますが、その裏に“リウマチビジネス”や“商品販売の意図”が潜んでいる場合も少なくありません。
優しい言葉で書かれた記事ほど、注意が必要です。
鍼灸と薬、どちらかではなく「両方」へ
鍼灸師として、私は自然療法の力を信じています。
実際、多くの患者さんが「痛みが和らいだ」「動きが楽になった」と感じていますし、それは事実です。
でも、目の前の人が関節の破壊によって日常を失っていく姿も見てきました。
たとえ痛みが一時的に楽になっても、体の中で静かに進む炎症や破壊は、薬の力がないと止められないことがあるのです。
あの日、指が垂れた状態で来院された患者さんの姿は、今も忘れられません。もう少し早く薬と鍼灸の両方を使っていれば、変えられた未来があったのかもしれない――そんな悔しさが今も胸に残っています。
リウマチ治療における最適な選択とは
薬が怖いという気持ちはわかります。副作用への不安も、決して小さなものではありません。
でも、怖いからといって“何もしない”という選択は、一番リスクを伴うこともあります。
だから私は、治療を「薬か自然療法か」の二択にしないでほしいと願っています。
薬で炎症を抑え、鍼灸で痛みや動きをサポートする。その“現実的な最適解”こそが、生活の質を守る近道だと信じています。
リウマチの治療に正解はひとつではありません。
でも、あなたがこれからも自分らしく生きるための選択をするとき、この記事がその一助になれたら――それが、私の願いです。
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ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
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この記事を書いた人
氣よし鍼灸院 院長 中島 基嘉
国家資格:はり師・きゅう師

大阪・京都の鍼灸整骨院で経験を積んだ後、
医療法人のクリニックにて鍼灸部門の主任を務め、
医師と連携しながら延べ3万人以上の施術を行ってきました。
2008年、吹田市・江坂駅前に氣よし鍼灸院を開院。
リウマチや慢性痛、自律神経の不調など、
不安を抱えた方に寄り添う治療を心がけています。
「薬が合わない」「自然な方法で整えたい」
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